AMDがChromebook向けのチップを4つ発表しました。既にDellの企業向けモデルでは採用されていて、6月末にはASUSのゲーミングChromebookへ採用されることになっています。
果たしてAMDはインテル・MediaTekの牙城を崩せるのか? 気になるAMDの4つの製品を紹介します。
AMDが新たな7020CシリーズをChromebook向けに投入
今回AMDから発表されたチップは以下の4つです。
名前 | コア/スレッド | ベース-最大周波数(GHz) | キャッシュ(MB) |
---|---|---|---|
Ryzen 5 7520C | 4コア/8スレッド | 2.8GHz - 4.3GHz | 6 |
Ryzen 3 7320C | 4コア/8スレッド | 2.4GHz - 4.1GHz | 6 |
Athlon Gold 7220C | 2コア/4スレッド | 2.4GHz - 3.7GHz | 5 |
Athlon Silver 7120C | 2コア/2スレッド | 2.4GHz - 3.53GHz | 3 |
TDPはいずれも15Wです。
特に、AthlonというAMDおじさんに刺さりそうなチップが2つあるのは面白い。死にそうで死なない、タフなチップです。
話を戻すと、今回発表された4つのチップはZen2アーキテクチャのパワーコアのみによる構成です。
インテルやMediaTekのように省電力コアは搭載していませんが、最新の6nmのプロセスルールにより、ハイエンドクラスのパフォーマンスを実現しながらも、大幅な省電力性を実現させたとのことです。
グラフィックは4つ共通で「AMD Radeon 610M」を搭載。グラフィックカードも作っているAMDなので、グラフィック性能では他メーカーの内蔵グラフィックスよりも優れている可能性があります。
「Redefining performance for the everyday Chromebook」=日常使いのChromebookのパフォーマンスを再定義するというのが今回の目標のようです。
7020Cシリーズの実力
AMDはMediaTekのフラッグシップである「Kompanio 1380」とインテルのAdler Lakeの「Intel Core i3-N305」を比較対象として引用。
AMDによると、Ryzen 3 7320Cはインテルの最新コア「Core i3-N305」のパフォーマンスを約15%上回るとしています。また、Kompanio 1380、Intel Core i3-N305のバッテリ持続時間が13.5時間であるのに対し、Ryzen 3 3720Cでは17.1時間のバッテリ持続時間を実現したとのことです。
これは6nmのプロセスルールと、ソフトとハード両面の最適化がなせる技、とAMDは主張しています。
さらに、AMDの新シリーズはLPDDR5のメモリに対応。リフレッシュレート60Hzの4Kディスプレイ3枚まで対応とのことです。
7020Cシリーズ投入の背景
IDC社のレポートでは2017年から2022年の5年間で$300-$500のChromebookは毎年20%、$500-$700のChromebookでは毎年18%の成長を続けてきたようです。今回AMDがミッドレンジからプレミアムモデルまでの市場にターゲットを合わせてきたのは、このような背景があります。
7020Cシリーズ搭載機は
現時点ではASUSが今後発売する「 ASUS Chromebook Flip CM34 Flip」に搭載されるとAMDから発表されています。販売は6月末、価格は$700付近と予測されています。
Dellは既に企業向けモデルとしてこれらのチップを搭載したモデルを投入していますが、消費者向けの販売はありません。
まとめ
現在のところ、ChromebookのCPUはインテル系とMediaTek系が主流となっている複占状態で、AMD製はなくもないが影が薄いです。
そんなAMDがミッドレンジ~ハイエンド向けのCPUを引っ提げて本格的に参入することになりました。そして今回、AMDからは今までとは一味違う本気度が伝わってきました。
競争は消費者にとっては歓迎すべきもの。Ryzenでデスクトップ市場を席捲した勢いをChromebookでも再現して欲しいものです。
推移を見守りたい。
ソース:New AMD Ryzen™ 7020 C-Series Processors Bring Fast Performance, Longer Battery Life, and Advanced RDNA™ 2 Graphics to Chromebook Users